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太陽光発電の歴史

2012,12,1(Sat)

太陽光の歴史は比較的新しいと思われがちですが、太陽電池が発明されてから50年以上が経ち、一般家庭にも広く行き渡ってから10年以上が経ちます。今回はそんな太陽光発電の歴史についてお話したいと思います。

太陽光発電の原理そのものの発見は、今から約170年も前、19世紀にさかのぼります。
物質に光を当てると電気が発生する現象を「光起電力効果(ひかりきでんりょくこうか)」と言い、1839年にこの現象をフランスの物理学者アレクサンドル・エドモン・ベクレルが発見したのが始まりです。
それから約100年の歳月を経て、太陽光発電に用いる太陽電池は1954年にアメリカのベル電話研究所という研究施設でピアソン、フラー、シャピンという3人の研究者によって発明されました。その時に発明されたのはシリコン太陽電池と呼ばれるもので、トランジスタ※1の研究過程において副産物のように発明されたというエピソードがあります。最初から太陽電池の発明を意図していたわけではなかったのですね。

※1トランジスタとは電気の流れをコントロールする部品のことで半導体でできた能動部品の代表と言われるぐらいとても重要な部品で、いろいろな電子回路で活躍しています。

こうして太陽電池は発明されたものの、当時の太陽電池はとても高価なもので現在のように一般家庭で利用できるようなものではなく、特殊な用途に限定されて利用されていました。その“特殊な用途”として、人工衛星への電力供給が挙げられます。
実は世界で初めて太陽電池が実用化されたのは人工衛星だったのです。
当時太陽電池は大変高価で普及は困難であったものの、電力を外部から供給することができない宇宙空間では太陽電池が最も適した電力供給でした。そこでヴァンガード1号に太陽電池が搭載され、打ち上げられました。
通常の一次電池を用いた人工衛星が21日間しか動かなかったのに比べて、太陽電池を用いた人工衛星が始めての実用化にもかかわらず、6年以上の動き続けていたことで、太陽電池の有用性は証明されました。
また、二本で最初に太陽電池の研究をしたのは“日本電気”で、1955年早くも太陽電池の試作品が作られ、1958年に東北電力信夫山無線中継所に太陽光発電システムとなる70Wを設置したのが日本国内での初の実用化となりました。

(ヴァンガード1号)      (信夫山無線中継所)

1970年代になると2度にわたる石油ショックを契機として、石油代替エネルギーの開発を進めることを盛り込んだ「サンシャイン計画」を1974年に策定し、この時点から2000年までの長期的戦力がたてられました。
このサンシャイン計画とはエネルギー危機への対処、無公害社会の建設を目標として通産省が打ち出した太陽・地熱・石炭・水素等の新エネルギー技術開発のことで、この計画は順調に進展し、技術開発が進められました。

1993年には太陽光発電によって得られた電力の中で、使用しなかった(余った)電力を活用しようと余剰電力を電力会社に売電できる供給システム“系統連系技術ガイドライン”が考案されました。
これまでは昼間の太陽光発電量が需要を上回っていても電力会社に売るということが出来なかったので余剰電力は利用されずに捨てられていましたが、系統連系が考案されたことにより昼間の余剰電力を売電し、夜間に使用した電気料金をまかなうことができるようになりました。つまり、太陽光発電の設置コストを早く回収することが可能になったのです。
これにより、太陽光発電はますます機能性のあるものへと進化する事が出来ました。さらにその後の研究と発展は進み1999年ついに日本は太陽光発電の技術力、生産量、そして導入数においても世界一位となることができ、1990年代太陽光発電はとても大きく飛躍しました。

近年では2002年にRPS法という電気を供給している電力事業者に対して、需要に供給・販売している電力量の一定割合を新エネルギーで発電された電力でまかなうという基準を定め、それを義務づけるという制度が制定、成立しました。
つまり、これまでの原子力や火力などの資源による発電だけでなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電を一定割合異常含む必要があるということで、結果として、RPSは電気事業者及び一般家庭において太陽光発電などの再生可能エネルギー発電を促進する効果が期待でくるものとなりました。

 

太陽光発電は資源枯渇の心配がなく、また世界のどこであっても手に入れられる理想的なエネルギーです。さらに発電時にCO2や有害物質が全く排出されない事から地球環境保護の観点からも理想的なエネルギーとして大きな期待が集められています。
世界に目を向けると、EU諸国では環境意識の高まりから太陽光発電が政策的な意図で積極的に導入されています。この動きは世界各国にも広がっており、いずれ訪れるだろう資源枯渇に備えることと、CO2排出を削減するためにメガソーラーと呼ばれる太陽光発電所の建設が相次いでいます。
日本国内、そして海外を問わず太陽光発電が普及することは明らかで、現在はまさに爆発的普及の直前であると言っても過言ではありません。
また、東日本大震災以降、これまで頼ってきた原子力発電と比べ安全な発電方式として太陽光発電への期待が高まっているので日本政府の太陽光発電への取組みがより積極的なものとなっていくことを期待したいですね。




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